泡沫夢幻



「あれ、彩音どしたの?」
今度は仁志がそう聞くと

やっぱり困ったように眉を下げた。

「涼これありがとう。
みんな待ってるから早く倉庫いこ?」
と質問を無視して彩音は私にタオルを返す。
そして靴を履き替え早く早く!と無邪気な笑顔で笑いかける。


その言葉で靴を履き替えた仁志と彩音は先に歩き出した。

おかしいことといえばここ数日としと彩音が一緒にいないこと、
としと翼がほとんど喋っていないことくらい。

翼は元々口数が少なかった。
としと翼が教室で喋らないのは至って普通のことだが、ここ数日は倉庫でも全然会話していなかった。

なによりも不思議なのは彩音に四六時中ぴったりくっついていたとしが
ほとんど1人で行動するようになってしまったこと。
登下校は2人でしているようだったが学校では全く話さない。