神崎さんの話を簡潔にまとめると、
彼女は今波に乗り始めた両親からの期待に応えられずに祖父母のいるこっちへやってきた。三人兄弟の末っ子で、特に相手にされなかったのに、高校に入って急に成績に口を出されはじめ我慢の限界が来た。
名前は伏せたが有名私立のお嬢様学校で、偏差値もここよりは10ほど高く、その中でも上から1割の中に入っていたと言うのに、だ。
「私にも居場所をちょうだい」
彼女は両目いっぱいに涙を見せた。
その姿に心打たれた彩音は神崎さんの手をとって、真っ直ぐにとしを見た。
としは静かに立ち上がって2人のそばへ行き、全員を見回し
それから強くうなずき宣言した。
「神崎理子を第二の龍姫とする」
神崎さんは転校初日と同じように深く頭を下げ肩を震わせた。
「ありがとう」
そう言ったのは彩音だけだった。
今思えばこの時、
誰か1人でも異変に気づいていたらよかったのに、
私たちは彼女を受け入れてしまった。



