忘れられない。
忘れたくても、忘れられない。
欲望や打算に満ちた視線が僕を絡めとっていく。
逃げ出すことは、できない。
黒く醜く塗りつぶされた記憶はひとつひとつ頭の中に積み重なって、どんどん重くなっていく。
容量オーバーのコンピュータみたいに故障でもできたらよかったのに、限度なんて言葉を知らない僕の頭は全てのものを刻み込んでいく。
増えていく記憶。
広がる嫌悪感。
そんな中で、唯一僕に純水な眼差しを向けてくれたのは、美鶴。君だけだったんだ。
だから美鶴だけは、あの汚い感情の沼に放り込みたくはない。
共に生まれた双子の姉に、性別を偽ることになったとしても。

