別に、命の危険に晒されたとか、酷いトラウマがあるとか、そんな深刻な話じゃない。
「僕は、自我が確立するのが早すぎた。それから人よりも鋭すぎた。ただそれだけなんだ。」
ばっさりと真実を口にしたものの、美鶴の頭の上にはクエスチョンマークが浮かんだようだった。
もちろん、一緒に話をきいている生徒会の奴らも。
「簡単に言おうか…僕には、生まれてきたその瞬間からの記憶がある。母親から生まれ落ちたその瞬間からの記憶が鮮明に、欠落のひとつさえなく思い出せるんだ。」
は…?と誰かの間の抜けたような声が漏れた。
「え、と。律、それって…」
戸惑ったような美鶴に軽く微笑を向ける。
「信じられないような話かもしれないけど、これが真実だよ、美鶴。
生まれ落ちたその瞬間から僕は…周囲の大人たちの汚い感情ばかり見せられてきた。僕は馬鹿だったから、自分の能力を隠すことなく見せてしまったんだ。
その結果が、このザマってわけ。」

