翼のない鳥



腕の震えは、止まらない。

ムカムカムカ、吐き気がする。

ズキズキズキ、頭痛は酷くなる一方。


動かない体に無理やり命じて、マグカップを机にたたきつけるようにしておく。

震える足を叱咤して立ち上がり、悪魔を睨みつける。


「、これで、満足か。」


お前はこれが見たかったんだろう。

わざわざ美鶴に言って僕の好みのコーヒーまで用意して。

顔に出そうな三人組を言い訳付けてこの場から出し。



「僕は、」



気を抜けば過呼吸になりそうな呼吸を制御する。

飲んでもいないのに、これか。


日に日に、ひどくなる。

視線が、うざい。


「人の手が入った飲食物は口に入れられない。これが知りたかったんだろ?」


入れない、ではなく、入れられない。

どうせ、美鶴が話したんだろ、僕の体質のことを。


ああ、もう今から嫌になってくる。

ガクリと力がぬけ、再び椅子の上へ。

マグカップを遠ざけ、深呼吸をひとつ。


うん、もう大丈夫。



「悪い、床汚した。」

「あ、いや。それは別にいい。」


戸惑ったような会長さんの返事を聞き流し、扉を見つめた。



「、」




正確には、その前で立ち尽くしている、片割れを。