「律の震えが収まってから、問い詰めた。一体あれはどうしたのかって。そしたら、人間嫌いで、私を含む一部の人以外の人間に触れられると拒否反応がでるって、それだけ教えてくれたの。」
美鶴を含む一部の人、か。
ということは、美鶴の他にも律が気を許せる存在がいる、ということか。
「・・・それは、両親とか、か?」
なぜかそれが気になって、疑問を口にだした。
なぜ気になったのかは分からない。
なんとなく、という言葉が死ぬほど嫌いな俺だが、このときばかりはそのなんとなく、に突き動かされたのかもしれない。
だが、そのなんとなくの質問は、美鶴にとっては大きな意味があったようだ。
「え、っと・・・」
表情を陰らせ、歯切れが悪くなる。
「うち、両親いない、から。」
しまった、と。
己の失言に悔やむがもう遅い。
「あ・・・悪い。」
「ううん、気にしないで?」
馬鹿か俺は。
律が家で家事全般をしていると美鶴が言っていたじゃないか。
よく考えれば、ワケアリだと気付けただろうに。
「律が気を許してる人、は・・・もう1人だけ、いてね。私も一回だけ見たことがあるんだけど、うん。なんか、信頼しあってる!って感じがビシビシ伝わってきてね、ああ、あの人が律の避難場所なんだなって分かったの。」
「避難場所?」
「うん。外に出たら、どこにいっても人がいる。人間嫌いの律にとって、それって
すっごくストレスたまるし、きつくて辛くてたまらないと思うの。でも、その人といるときだけはすっごくリラックスしてるみたいで、安心してた。」
そのときのことを思い出したのか、美鶴は自然と微笑んでいた。
・・・確かに、律にとっては毎日がストレスだらけかもしれない。
きっと、想像したところで本当の辛さなんてほんの少しも理解できないだろうが、相当辛そうだというのは分かる。
律の避難場所、か。
言いえて妙だな。
・・・どんなヤツか、会ってみたいものだな。

