「・・・じゃあ律くんは、8歳の時にはすでに日本語、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語が堪能だったってこと?」
「多分。それに、それ以外の言葉も話せるんじゃないかなあ。」
ケロリとした顔で美鶴は言うが、それってとんでもないことだよな。
・・・え、天才児?
「まあとにかく律は知能が異常に発達していることが分かるな。」
クイッとメガネのフレームを押し上げながら、柊羽が言う。
「補足だが、彼は語学だけでなく、一般の教科もできるぞ。」
「で、なんでテメエが知ってやがる。」
「アイツが授業に出ていないからだ。」
真秀の威嚇をさらりとかわす柊羽。
・・・なんで授業にでていないことが、頭が良いことにつながるんだ?
俺の疑問に答えるように、柊羽は続ける。
「前、問い詰めたら授業免除を認める紙を見せられた。はっきりと理事長印がはいったやつをな。理事長に聞いたところ、アイツ、編入試験全教科満点だったんだと。だから、テストで良い点とってここの偏差値上げてくれたら文句はないらしい。」
「は・・・」
茫然とするみんな。
うん、俺も同じ。
だって、ここ、全国でも最難関に位置する学校だぜ?
入試だって、六割とれりゃ合格なのに。
編入試験なんて、四割とれたら合格、ってくらい難しいってきいたことがある。
それを、満点?
「・・・やべー。」
うん、もうそれに尽きるな。
美鶴に至っては、律って頭よかったんだ!と叫んでいる。
いや、そんくらい知っとけよ。
八歳で多言語を操るってだけで分かるだろ。
これはあれだな、美鶴が天然なのもあるけど、それだけじゃないわ。
美鶴、傍にえげつねえヤツがいたせいで一般的な感覚が鈍ってるんじゃねーか。
いや、待て待て待て。
美鶴と律は双子。
同じ遺伝子。
バッと美鶴を凝視する。
ふわふわした雰囲気の、ゆるくていかにも馬鹿っぽいコイツ。
・・・コイツ自身、優秀なんじゃねえの?
だから律を見ても何も感じない、とか。
ああもうやだやだ。
世の中って、怖ええ。

