廊下に出るのは億劫だ。 普段教室にいないから、僕の姿を見られるのはレアとかいうことで余計に注目を浴びる。 まあ、第一図書室に近づく輩はいないから、まだ僕がここに入り浸っていることはだれにもばれていないはずだ。 戸締りもきちんとしているし、通りかかった人にも気づかれないよう、奥の部屋しか明かりをつけないようにしている。 ―――ガチャリ。 すでに聞きなれてしまった鍵がしまる音を聞いて、美鶴の教室に向かって一歩踏み出した、そのときだった。 “彼”が言葉を発したのは。 「お前が琴川律か。」