×××side
「にしても堂々と始業式サボられるとは思わなかったな。」
端正か顔立ちに苦笑をのせ、男は椅子に腰かけた。
「2Cの琴川 律か・・・姉の方はちゃんとでたのにね。」
女と錯覚してしまいそうなほど愛らしい顔だちをした男が皮肉気に笑う。
「真秀と同じタイプか?全く、1人で十分だというのに、次から次へと。」
メガネをかけ、冷たい瞳をした男が舌打ちをする。
「んだと?お前マジでムカつくことしか言わねぇな。いつか痛い目見せてやる。」
ガタリと音をたてて鋭い目つきの男が椅子を蹴とばす。
「そうやってすぐに頭に血が上るところがバカっぽいと言っているんだ。それに、いつもいつか痛い目見せてやると言っているが、そのいつかとはいつだ?できないことは最初から口に出さない方がいいぞ。」
「ッテメーなめた口ききやがって!ざけんじゃねぇお前なんかいつでも潰せる!」
「はいはい、ここで喧嘩すんなよ?」
今にも相手になぐりかかりそうな男をとめ、はじめに口を開いた男は傍らに立つ男に目を向けた。
「で?茜、どうだったの?弟のほうに接触したって聞いたけど。」
「んー?ああ、そうだねえ・・・」
漆黒の髪の間から、血のような瞳を覗かせた男はクツリと笑った。
その様子を見て、可愛らしい顔立ちの男は意外そうに目を細める。
「あれっ、もしかして茜気にいっちゃった感じ?」
「んー、気に入ったっていうかねえ・・・」
何かを思い出すように男は目をふせた。
「まあ少なくとも、生徒会メンバーの誰とも違った感じのヤツだったね。」
「だって!よかったね真秀!キャラかぶってないってよ?」
「うるせえそんなこと誰も聞いてねえ!」
「はいはい静かに。」
ギャアギャアと騒ぎ出す者たちを落ち着ける男。
どうやらこの流れはパターン化しているらしい。
「っていうかさー、じゃあその子たちでいいんじゃない?あれ。茜気に入ったみたいだし?」
ぽつり、と誰かが言った言葉に、室内は静まり返る。