翼のない鳥



「ん?律、何か言った?」
「いや?何も。」

僕に言いくるめられて素直に落ち込んでる美鶴。


ああ、癒し・・・


常にはめている黒い手袋を右手の方だけ、するりと抜いた。

艶のある綺麗な金の髪にそっと右手をおけば、美鶴が僕を見つめて、微笑みかけてくれる。


「―――律。大好きだよ。」
「っ。」


ああ、これだからこの子は。

余計な不純物を一切宿さない、美しい瞳。
その視線も、声も、全く不快じゃない。
むしろ、僕の心のよどみをとりはらってくれる。

シスコン、と呼ばれる部類の人間であることは分かっている。


けどなあ。



「僕も。大好きだよ、美鶴。」


サラリ、と髪に指を通して、優しく笑いかけた。



どうしようもなく、大切なんだ。

すっと手をひいて、手袋をはめなおした。








そんな僕の様子を、美鶴がどこか複雑そうな表情で見ていたことを、僕は知らない。