翼のない鳥




「―――美鶴。」



優しい響きの、その名を口にだす。

たった3文字、声にのせるだけでふわっと心が軽くなった。

さっきから感じていた視線によるストレスが一気に飛んでいく。


「律っ!」


甘いその音色が、僕の名前を紡ぐ。

ゆるゆると口角が上がるのが分かる。


「律の、馬鹿あっ!!」
「うぐっ・・・!」


ガクガクガク。

すごい勢いで突進してきた美鶴に首元の襟をつかまれ、前後に揺らされる。
地味に苦しい。

「ちょ、美鶴、首、しまってる!」
「え、あ!ごめんね律!」

息が苦しくて眉を寄せながら言うと、美鶴は慌てて手を離した。

ふうっと息を吸って、吐いて。


「で、美鶴。何の用?」