新 不倫



「ヨシト君、ちょっとこれ見てくれる?」


「・・・・?」


「第一所見として気になる点が2つあったんだけど、まず1個目が・・・。」


長くんと一緒に屈むと、覆われていたブルーシートから被害者の“手”を出して見せてきた。


「・・・どうっすか?」


「・・・・綺麗すぎるね。」


「でしょ?【防御創】が全く無いのが引っ掛かりました。」



予期せぬ事態に陥り、
更にそれが生命の危険にさらされた場合、

ボケ~っと突っ立っている人間はまずいない。


襲ってくる相手に抵抗したり、

ナイフを持つ相手と揉み合うちに出来る切り傷だったり・・

防御行動の際に出来るキズ・・“防御創”が体のどこかに残るケースがほとんどだ。



「仮に不意討ちだったとしても、

首にロープを巻かれて絞められたら、
普通は解こうと抵抗するはずっす。」


「つまり今回の被害者は・・
【無抵抗】だった・・?」


「手足を縛られた痕は無いし、身動き取れない状態では無かったはずっす。

だから薬とかで眠らされてない限りはその可能性が濃厚っすね。

・・・・なかなか謎でしょ?」


「そうだね・・。
そのあたりも調べてみる。」


「分かったら教えてくださいね。」