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“ランニング”と聞いて、田中君と同時に露骨に嫌な表情が出てしまったけど、
校門を出た中西先生は走ること無く・・ランニングというより“散歩”の途を歩く。
「田中君。」
「・・?」
「岸本さんにばかりアドバイスするのは不公平なので、君にも一つ言っていいですか?」
「・・・・。」
「君の漫画に登場するキャラクター・・“感情”が表情に乗りきっていません。」
「・・・・??」
「・・あ、ごめんなさい。
岸本さんが“面白い”と教えてくれたので、つい私も興味が出て・・。
君がトイレに行っている間にこっそり見・・・勝手に見てごめんなさい・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「プロの漫画家は、“ただの無表情”でも読者に訴えかける技術を持っています。
口角を1mmズラすだけで、その心の変化を読み取らせる技術を持っています。」
「・・・・・・。」



