課長はミスをする平山さんに対して何も言わない。
周りの皆さんはまるで腫れ物に触るように平山さんへ気を遣う。
だから何も聞かなくても・・奥様やお子様の身になにか起きてしまった事は・・・
平山さんの“幸せ”が何か崩れてしまった事は・・明白だった・・。
「平山さん・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「平山さん。」
「・・・ん?・・あ・・ごめん。」
「あの・・自販機でミルクと間違えてブラック買っちゃったので、
もしよかったらどうですか・・?」
「あ・・ありがとう。お金払うよ。」
「大丈夫です・・。
私が間違えて買ったので・・。」
今までは“出来る”から遅くまで残って進めていた残業。
今は・・“出来ない”からこうして遅い時間まで掛かって進めざるを得なくなった残業。
課長も、他の皆さんも帰った二人きりのフロア。



