「それが何か・・・?」
「彼は、自分の名前も家族の名前も、
生い立ちから死ぬ間際の記憶まで、
全て覚えていました。」
「・・ということはつまり・・?」
「魂に病気は関係ありません。
どうやら死者になると本来の姿に戻るようです。
認知症を発症していた死者は、
発症前の健常に戻り、
事故で失明した死者は、
視力を取り戻す等、
生まれつきの障がい以外は、その方が持っているポテンシャルのお姿になるようです。」
「・・じゃあ・・街に溢れてる豊川さんを脅かす死者達は・・?」
「彼らは“悪霊”の類いですので、
血まみれのまま、
顔が潰れたまま、
死んだ時の状態のまま自分の魂を浄化出来ていない人達ですね。」
「・・あ、すみません話逸らして。
つまり豊川さんが言いたいのは・・
さっき僕達に語りかけたクミコさんは、
うつ病を発症する前の・・本来の平山クミコさん・・という事でしょうか?」
「はい。だから今回の相手はかなり厄介です。」
「と言うと・・?」
「あんな一言、二言だけで終わられては、
嘘なのか本当なのか判断できません。」



