そんなことを考えながら間部ひなたに背を向けてスタスタと足を進める
「多岐くん、あの」
?
ちょっと落ち着いた間部ひなたの声
さっきからこいつの会話文、全部語尾に『!』がついてたからちょっと新鮮なトーン
「…」
なんだ?
足を止めた俺の顔をまじまじと見つめてくる
「なに?」
「えっと…もしかして体調悪かったりします?」
…え?
「え、なんかいつもと違うなっていうか、なんかいつもより私に優しくないですか?」
は?
「いつもだったらガン無視とか普通なのに今日は全部返してくれたし、なんか…ディフェンスが弱い」
ディフェンスってなんだよ
「それに心なしか顔色が悪く見えます」
まじ?
…確かにちょっと頭痛はしたけど
良く気付いたな
俺でもさっき気づいたのに
…
ますます不思議なやつ
目の前の間部ひなたを見下ろす
「熱あります?」
その言葉と同時にスッと背伸びして手を伸ばす間部ひなた
自分の額に何かが触れる感触
思ったより近くにある間部ひなたの白い肌と茶色の髪
ふわっと香るのはさっきの女子みたいな作られた匂いじゃない、鼻をかするような甘い香り
「熱はないですね」
そのままの距離感でそう囁くように言った
トク
……?


