私に恋する可能性




「多岐くん!」


うお!


突然呼ばれた名前にビクッと肩が震えた


「おはようございます!」


間部ひなた?


教室につながる廊下で元気爆発させて声をかけてきたのは彼女サン


「今日はいつもより早いですね!」


そうだっけ?


電車の時間とか適当だからわかんねぇわ


「こんな晴天のいい朝なのにため息とは何事ですか!悩み事ですか!幸せが逃げるからダメですよ!」


今日も絶好調だなこいつ


「はいはい、間部さんは悩み事なさそうだね」


「失敬な!悩み事くらいありますよ!でもそんなことどうでもいいくらい今は幸せなので!」


はぁなんでまた


「朝から多岐くんに会えたからです!こんななんでもない廊下で出会えるなんて…はっ!これはまさか運命とやらではないですか?」


ぶっ!

こいつ声だけじゃなくて顔もやかましいな


「何が運命だよ笑」


「ため息なんかついてないでこのハッピーデーを楽しみましょう!」


ハッピーデーねぇ


「ハッピーなのはお前だけだよ」


「なっ!多岐くんは私に朝から会えたというのに喜ばないんですか?」


「なんで喜ぶんだよ」


俺の言葉にわかりやすく落胆する間部ひなた


「こんチクショーですね。私は毎朝電車の中で多岐くんを探しているというのに」


探す?俺を?


「ストーカーかよー気持ち悪いな」


「気持ち悪いって言いましたね!?ちなみに2回目ですよ?」