「あ、いた。おい間部!お前何やってんだよ」





犬飼先生


「さっさとしろ!おせぇんだよ」


犬飼先生が駆け寄ってきて、私の後ろの女の子たちを見る


「お前らも何やってんだ?さっさと帰れ」


「あ、は、はい」


魂の抜けたような声が聞こえて、女の子たちはゆらゆらと帰って行った



「はぁ…お前また絡まれてたのか?おい?間部?」


わ、私…


私…



「多岐くんの連絡先ゲットしましたぁ!!」


座り込んでいた足に力が入ってビョンっと飛び上がる


「は?」


「嘘!?なんで!?いやなんでもいいや!嬉しい!嬉しいです!」


数学のワークを抱えたままぴょんぴょん飛び跳ねる


「え!は?交換って、あの多岐と?」


「そうですよ!私すごくないですか!?」


どうやら先生も多岐くんの連絡先交換をしない噂を知っていたようで目を丸くしている


「今ならバク転できる気がする!」


「すんなよ」


「あ!数学のワーク!はいどうぞ!」


持っていた分を先生に押し付ける


「あ、ちょ、間部!?」


遠ざかる先生の叫び声をスルーして踊るように歩く




どうしよう…めちゃめちゃ嬉しい!



みっちゃあああん!