来た道を戻りながらため息をつく
忘れてたな
多岐くんは人気者だってこと
私はそんな多岐くんの気まぐれでたまたま接触できた運のいい人
彼女だからって浮かれててはうまくいかない
私をよく思ってない女の子はいっぱいいる
結構派手に転けたのかズキズキと赤くなっている膝を見る
この恋はちょっと障害が多すぎる気がするけど
なんとか乗り切って見せる
まだスタートラインにたったばっかりなんだから
根性があることだけが私の取り柄
頑張ることしかできないんだからそれ以外に方法はない
最近よく感じるようになったあまりいいものではない視線を受け流しながら進む
『やってみなよ』
私の背中を押すのはそんな多岐くんのやるせない音をしたあの言葉だけ


