「なんで俺にも言ってくれないのさ」
特別なんて一言で言い表せるものじゃないから
「私だけの秘密にしたいからです
私悪い子ですから誰かと共有したいって思わないんです
多岐くんの素敵な一面を知ってるのは…私だけで良いかなって…思っちゃった」
なんだか話してる途中で恥ずかしくなってきて
思わず顔をくしゃっとしてえへと笑った
タイミングよく梅雨の生温い風が吹き
いつもよりボサボサな肩までの髪が揺れた
同じように揺れる金髪を見て、あの日の情景が重なる
確かここら辺だった
多岐くんが案内してくれた道
多岐くんが私を見つけてくれた場所
私の真っ正面に立ち、なんの心情からかわからないけど、普段より大きな目で私をまっすぐ凝視する多岐くん
…
そこで私は思い出してはいけないことを思い出した
「そういえば私たち…遅刻してましたね」
「うん。忘れてたの?」
「激しく忘れてました」
これは生き埋め決定だな…
「すみません多岐くん…私先に行きます。このままだと犬飼先生に埋められるので」
ここからはダッシュだ
多岐くんとは結構話せたからよしとしよう
「あ、埋められるんだ笑。頑張って」
「ではまた愛を伝えにきます!」
「結構です笑」
多岐くんに背中を向けて駆け足で学校へ向かう
なんか…すごい話をした気がしたけど…まいっか
とりあえず改めて多岐くん公認になったんだから攻めよう!
そして連絡先を聞きそびれた間部ひなただった


