私に恋する可能性




目を見開いて固まっている多岐くん








耐えろっ


耐えるんだ!


かなり恥ずかしいポーズをしてしまったが…


耐えるんだ間部ひなた!



「…ふっ」


ふ?


「フハハハハハッ」


瞬間、糸が切れたように爆笑し始めた多岐くん



え…と?



「そっかっははっ、なんか本当に君は俺の予想を遥かに上回ってくるね」





「普通だったらさっきの俺の言葉に傷ついて泣いて諦めるところだよ?」


え、そうなの?


「結構冷たく突き放したつもりだったけど全く効いてなかったみたいだね」


ふぁい?


「新しいタイプだよ本当」





「なるほどね…これから、か」


ボソリと何か言う多岐くん


「じゃあまだまだ諦めないってことか」




「もちろんです!私は多岐くんを恋に落とします!」


全力で啖呵を切る


「ふーん。本気なんだ」


「本気ですってば!」


「わかった…じゃあやっぱり勝負は続けようか」



やった!

「望むところです!絶対落として見せます!」


多岐くんはフフッと笑った


「やってみなよ」


「はい!!」


よっしゃ!頑張る!めっちゃ頑張る!



「俺のなにがそんなに良いのかね」


ふっと溢れるようにそう言った多岐くんの横顔を見る


「知りたいですか?」


「んー?まぁ…」


「でもこれは多岐くんでも内緒です!」


「はい?」



私が多岐くんに恋した日のこと


多岐くんはきっと覚えてないけど


実はみっちゃんにも詳しくは説明してない


道案内してもらったことは私だけの秘密にしてきた

だって、普段の多岐くんからは想像もできない素敵な一面、本物の笑顔

もし誰かに話してしまったら…なんだかもったいない気がする


私だけの秘密

私だけの、宝物