だけど人にはもちろん知られたくないことや踏み入って欲しくない場所がある
もちろんそこはわきまえるつもりだ
多岐くんのことを知りたいし、好きになってもらいたいとは思うけど
困らせたいわけじゃない
ただ…
「私にはどうしても多岐くんが自分の周りに壁を作っているように見えるんです」
「は?壁?」
そう。壁
今だってそう。私のことをすぐに離そうとする
必要以上にコミュニケーションを取ろうとしない
まるで機械みたいに
本当の自分を知られることを恐れているように見える
「変なこと言ってるのは分かってます。
ただ常に周りと距離を置こうとしてるというか…なんていうんだろう…違和感?
…だから、えっと…私は多岐くんの作ってる壁の向こう側に行ってみたい…って、話です
そのくらい、あなたが好きだってことです」
こんなこと言うつもりじゃなかったんだけどな
ま、言ってしまったものは仕方ない
「と、とにかく!私を突き放すのは早いってことです!
私を好きにならないなんて宣言しないでください!
だって私はあなたを落とす女ですから!」
多岐くんを名探偵ばりに指差してキラーンとして見せた


