その馬鹿みたいな沈黙を破ったのは多岐くんだった
「プハッ」
吹き出したように笑いをこぼした
わお…なんて素敵な笑顔…
「いや予想を遥かに超えてきたよ、さすがだね」
褒められたぞぃ
「ありがとうございます!」
「だけどまあ交換する気にはなれないかな」
なっ!
まだダメか!
くそぅ
押してダメならさらに押してみろ作戦
まだ押しが甘かったかぁ(違う)
「ぐ…わかりました。出直してきます」
ちょっとブルーになって背中を向けた
「諦めろよ」
「ほんとうざい」
「なにあのブス」
わーお。
女の子のひそひそ声が聞こえた
まあそうだよね
普通に考えて反感買うよね
でもそんなのにビビってたらダメだから!
私はくじけなあい!
ちょっと強く拳を握ってぐっと飲み込み、教室を出た
…連絡先交換するのにこんなに苦戦してるのに
多岐くんが私を好きになるのにどのくらいの時間がかかるんだろうか
…いや!
まだ時間はある!
高校生活は長いんだから!


