私に恋する可能性





「祐飛、祐飛!部活は?」


ぐんぐんと進む祐飛の背中に声をかける


「終わった」


「ちょ、落ち着きなよ祐飛」


「…」


うぶっ!


急に止まった祐飛の背中にぶつかる


「ちょっと…」


「水菜って俺のこと好きなの?」


…は、はぁ!?


「な、何言ってんの?」


「フラれて弱ってる男に近づくとか危機感なさすぎじゃない?もっと考えて行動してよ
弱みに漬け込みたいの?惚れられたらどうするんけ?」


普段穏便な祐飛が早口にまくし立てる


ちょ、え、本当に何?


「水菜ってさ、本当に俺のこと好きなの?」


だ、だからその質問何?


「なんかいつも俺ばっかじゃない?嫉妬するのも、求めるのも、全部」


し、っと?って、は?


「いくら幼馴染でもたまには言葉にしてくれなきゃ…わからないよ」





素直って難しい


…ひなたリスペクト


「祐飛」


ぎこちない動きで幼なじみを抱きしめる


「…すきだよ」


多分

祐飛が思っているよりもずっと


「水菜」


「わかりづらくてごめんね。でも、私ちゃんと祐飛が好きだから」


う…て、照れるぞこれ

なんでこんなこと言わなきゃダメなの

でも…言う時は言うし


ひなたに説教してばっかじゃないんだから


「水菜」


背中に回る祐飛の手


「ごめん。俺自分で思ってるよりも水菜の事が好きみたいだから」


ぎゅうと圧がかかる


「わかってるよ」


「独占欲強いから」


「わかってる」


「たまには不安になるから」


「知ってるよ。幼馴染みなんだから」


…何年の付き合いだと思ってんだか


「そっか。そうだね」




もしかしたら私たちが恋に落ちるの確率は


最初から100%だったのかもね