ひなたside


「それで、思わず逃げ出したと?」


「きゃ、キャパオーバーだったの…」


「ほんっっっとーーに馬鹿」


み、みっちゃああん泣


「好きだって言われたんでしょ?」


うん


「なんで逃げたの?好きになって欲しかったんでしょ?」


…うん


なんで逃げたんだろ


…きっと

多岐くんの言葉を自分の都合のいいように受け取りたかったから

『好きだよ』

の、続きを聞く前に逃げ出した


その『好き』が私と同じものでありますようにと無理矢理願ったんだ



うわあああ泣


間違ってるってわかってたけど、多分あれ以外の選択肢、あの時の私にはない


怖いんだよみっちゃん


多岐くんの好きがずっと欲しかったから

いざそれを手にすると混乱してしまう



要するに私は不器用なんだ


16年目にしてはじめて知った事実