…
私は
「私は、あなた方でなく多岐くんに聞いてるんです!」
勇気を出して言った一言
「…は?」
ゔ、こわ
は?ってめっちゃ怖い
「今までの彼女だとか噂だとかそういうことを言ってるんじゃなくて、私が多岐くんと連絡先を交換したいからお願いしてるんです!」
なんでこんなにムキになってるんだろう
多岐くんじゃない人に言われたからかな
彼女なのに、多岐くんのこと知らなかったからかな
「えーなに言っちゃってんのこの子」
「思い違い激しすぎない?」
「なにこいつーウケる」
ウケられたぞ
てかなんか言ってよ多岐くん
なんでもいいからぁ!
「うざすぎ」
ボソッとそんな声が聞こえた
やってしまったと思ったが
私は思ったことを言っただけ
今まで女の子と連絡先を交換してこなかったからって私ともそうとは限らない
いや、私ともそうじゃダメだ
だってこの人を落とすんだから
出だしから普通じゃダメ
好きって特別な感情だから
特別になりたいって思うから
「…」
…き、気まずい
しんとしてしまった
どうしよ…
「おーい!もうすぐ予鈴だぞー!」
!
犬飼先生の声だ!
助かった!
「やっばぁ」
「思ったより時間食ってたー」
「いこ!遥!」
「あーうん」
去り際に見えた適当で変わらない多岐くんの表情
あの作ったような表情が気になる
「調子乗らないでね?今だけ彼女サン」
…!
通り過ぎざまにそんな声が聞こえた
はぁ…思ったよりも険しい道になりそうだze
がんばろう
駆け足で自分の教室に向かった


