はぁ
「ひなたは危機感がないんだよ」
「危機感?」
茂木だってそうだ
どんなフリ方したとしても、多分あいつしばらく諦めねぇぞ
もっと自分の周りをよく見れば分かる
俺にもそうだ
無防備にも程がある
付き合ってもない男と普通はキスとかしないから
「あ、暗殺者に狙われている…だと」
激しく勘違いしてるこの馬鹿
「そういうんじゃなくて…はぁ…わかんないかな」
首を傾げる
ひなたの理解力の乏しさ舐めたらダメだわ
「…だから」
……
だか…ら
じっと俺を真っ直ぐに見つめるひなたの目
ズドンと心臓が動く
「っ…やっぱなんでもない」
…あー
「ちょっと!それは気になるやつ!」
「一生気になっとけ」
そんで一生俺のこと考えてろ
「多岐くんの馬鹿ぁ!」
「あっはは」
なんだこれ
めちゃめちゃどうでもいいことをただただ喋るだけの時間が
めちゃめちゃ楽しい


