私に恋する可能性




「あー…お兄ちゃん?」


「え、あ…そ、そちらは」


多岐くん?

えっと…


なんて言おうか迷っていたとき

多岐くんが口を開く


「はじめまして…多岐遥です」


頭を下げる多岐くん


なぜか今とてつもなく申し訳ない気分

なんか、理由はないけど…この気持ちわかって


「は、はじめまして…ひなたの兄です。た、多岐遥くんはひなたの…えっと、お友達?」


うっ


その質問やめて兄上

すっごい微妙な関係だからやめて


「えっと…」


多岐くんの珍しく激しい動揺ぶり

めちゃ目が泳いでます


どうしよう…えっと

うぅぅ


ええい!!


「お兄ちゃん!早く会社戻ったほうがいいよ!私たち電車来ちゃうからもう行くね!」


最終手段!

逃亡!


多岐くんの背中を押して駅へと早歩きで向かう


幸いお兄ちゃんは追ってこなかった



はぁ…なんて言い訳しよう


いや、普通に友達ですって言えればいいんだけど


私は友達のつもりじゃないし


かといって彼女ですというにはまだ微妙だし


それに多岐くんは


金髪でピアスばちばちだからお兄ちゃんにはかなり衝撃の強い初対面だと思うんだ



うぅ…お兄ちゃんタイミング悪すぎるよ