「はぁ…ひなたは危機感がないんだよ」


「危機感?」


なんでそんなのがいるの?


私別に暗殺者に狙われてないよ…

え、ないよね?

大丈夫だよね?


「そういうんじゃなくて…はぁ…わかんないかな」


分かんないわよ

私の理解力の乏しさ舐めるなよ


「…だから」




思わず多岐くんをじっと見つめる


「っ…やっぱなんでもない」


ええっ!


「ちょっと!それは気になるやつ!」


「一生気になっとけ」


ええええ!


「多岐くんの馬鹿ぁ!」


「あっはは」


なに笑てんねん!

もおおお!


なんて怒りながらも、あんまりにも素直に笑う横顔に絆される



「あれ、ひなた?」


…ふぃ?


聞き慣れた声に足が止まる


「お兄ちゃん?」


「は?」


多岐くんの体に力が入ったのがわかった


そこにはスーツ姿のお兄ちゃんが素っ頓狂な顔をして突っ立っていた


「い、今帰り?」


「うん。なんでここにいるの?」


会社真逆だよね


「営業の帰り…なんだけど、これから、会社に戻る」


あ、そうなの


「じゃあ今日も帰り遅いんだ」


「あ、あーごめん」





なんかお兄ちゃんの様子がおかしい


私と話しながら視線がめちゃめちゃ泳いでる


多岐くん?を何度も視界に入れては私を見てを繰り返す