駆け出た廊下で



『行く』



その二文字を打った



多岐くんが、私を待ってる


思わず柔らかくなる表情



鞄を背負って足を進める


無意識に駆け足になる


だんだんと上がるスピード




『多岐のこと本当に好きになったんだね』



みっちゃんはおかしなことを言う


私は最初から多岐くんに恋をしてるよ



ただ、その気持ちが


大きくなっただけ


好きかもしれない、好き、大好き



でもみっちゃんが言ってることもわかる気がする


私は本当に多岐くんを好きになった



最初はゲームでも賭けでもなんでも良かった


ただ多岐くんの近くにいられるだけで満足だった



でも今は違う


ゲームなんかじゃ嫌だ


偽物じゃない、本物の彼女になりたい


そのくらい、好きになったんだ


欲張りになっちゃったみたい


でもまあ…これは多岐くんのせいってことで




今は…



多岐くんが待ってる



多岐くんに会いたい



ただそれだけだ