私に恋する可能性




…はぁ


とはいえ、人にあんな風に言われるのはさすがの私もシンプルに傷つく


まあいいや。過ぎたことは過ぎたことだ


重い足をバシッと叩いて歩き出そうとした


「遥ぁ!今日は早いね!」

「おはよー遥!」


はるか


遥!?

遥って多岐くん!?


ギリじゃないの!?


あんの男ぉぉクソ男ぉぉ


言ってることちゃうがな!


「いっつも遅いのにどーしたの?今日は」




いつもは遅いのか


じゃ、あのクソ男ぉの言ってたことは本当か

クソ男って思ってごめんね

でも私のことクソ女って言ったからクソ男ね



は!そんなことよりも!


連絡先聞けるチャアンス!



「てか遥何してたのー?下駄箱なんかにもたれかかって」


「んー?盗み聞き」


「えーやだぁー!誰の誰の?」


「教えなーい」


と、まあよくわからん会話が下駄箱の向こう側から聞こえる


盗み聞きとはまた誰の

だが…イケメンだから笑って許される

この世は不平等だなっ


下駄箱からそぉーっと顔を出す


女の子に囲まれてる多岐くん


あの中に行くのかぁ



…ん?


まてよ?


なんで躊躇する必要があるんだ?



私は彼女だぞ!!


そうだそうだ!


私は多岐くんの彼女なんだ!



よっしゃぁぁ!



元気よく下駄箱から出てきて女の子の塊に向かう


背の高い多岐くんの顔が女の子の軍団から飛び出ている


すぅ


「多岐くん!」



ザッ!


びく!


女の子たちが一斉に私をみた


その目は私を認識してからだんだん細くなって、怖い目つきに変わる



お、お、

オソロシア