「じゃあ」
家の前まで当然のように送ってくれる
「うん、ありがとう多岐くん」
なんか今日1日めちゃくちゃ心臓使った気がする
バックバクのドッキドキでポッアポアだった
こんなに青春していいのかななんて
ダメって言われてもやめないけどね
多岐くんが少し笑って背中を向けた
…っ
「…多岐くん!」
思わず叫んだ名前に足を止めた
「ん」
「す、好きだよ!」
言う予定なんかなかったけど、今なんか…言わなきゃって思った
本日2回目の思わず漏れた言葉
私を見ていた多岐くんの目がふわっと柔らかくなった
「…知ってるよ」
うああ…今心臓キューンとした
「ふふっだよね!」
照れた顔を隠すように歯を見せて笑った
「っ…」
「バイバイ多岐くん!」
「…また明日、ひなた」
…ふぁ!?
固まる私をよそにクスッと笑ってまっすぐ帰っていく背中
…ホワッ
今…
え
ひなたって
…
あ
帰り道での多岐くんの不自然な間を思い出す
そういえば…私帰り道で一回も名前呼ばれてない
あの変な間ってもしかしてだけど
…名前呼ぼうとしてたのかな
考えすぎ?
…いやでも
『また明日、ひなた』
ぶあああっ
と顔が赤くなる
…
あぁぁぁ
心臓がメタルバンド始めたちゃったけど
…寝れるかな


