「茂木の誘いは断ってきた?」
断ったというか…
「的場くんが蓮斗くんを回収しました」
「そっか」
的場くんは思ったよりも頼りになる人だ
「ていうかさ、前から思ってたんだけど」
な、なんだ
前から思ってたんだけどってめちゃめちゃ気になる言葉だよね
「なんで敬語なの?」
…ほ?
「あのー…いつも敬語使うじゃん」
あ、また変な間
何基準で入ってくるの?その間は
まぁいいけど
…敬語か
言われてみれば確かに
「なんかすごい距離あるみたいじゃない?」
多岐くんが少し声のトーンを低くした
距離
「…私こう見えて実は人見知りだったんですよ。感情が前に出てないとまともに人の目も見れないような緊張しいなんです」
実際、私は多岐くんと話す時あまり目を合わせられないことが多い
今は隣を歩いてるからだけど
「人見知りには見えないけど」
元ね?
今はだいぶ治ったよ
小さい頃からお兄ちゃんと2人だけで生活をしてきたからあんまり人と関わることがなかった
友達と遊びに行ったりとかもないし、彼氏なんてもっての他
だから常に人との距離を置いていた
高校生になってみっちゃん達と出会って、だいぶさらけ出せるようになったけど
その頃の癖は治ってない
みっちゃんにだって長らく敬語を使っていた記憶がある
だけど
「でも…多岐くんにこんなに押していけるのはきっと感情が前に出てるからです
緊張だとか人見知りだとかそんなこと考える余裕がないほど好きだから」
自分で言って結構照れ臭かった
でも実際そういうこと
小心者で緊張しいの私が脇目ふらずに想いを伝えたいって思うのは
他の女の子に妬まれるのだって我慢できるのは
相手が多岐くんだからなんだ


