確かに今までいろんな女の人と付き合ってきた
大体向こうから告白してきて
別に興味ないし、うなずいとけば悪いことないし
その程度でしか彼氏彼女って関係をやってこなかった
恋愛とか興味なかったし、誰かを好きになるっていう感情がまじでわからなかった
そもそも他人が嫌いな俺は距離がやたら近い奴が嫌いだ
常に距離は取っておきたいと思う
ニコニコしてれば寄ってくる女はいるけど深く入り込んでくるやつはいない
めっちゃ楽
ほんとにそれだけの理由だった
だから…
間部ひなたに会ったときはすごい混乱した
距離が近い、というよりは攻めが凄い
恋愛って上手い奴は押しと引きをうまく使うらしいけど
間部ひなたは押しのみ
押してダメならさらに押せって感じのやばい奴
まあ面白いなとは思ったけど
俺がどんなに壁を作って突き放したって全部ぶち壊してくる
そのくせ、俺には自分の弱いところに踏み入れさせない
『でもまあ覚悟だけは一丁前で、度胸もある。弱いところなんて滅多に見せない強いやつだ』
犬飼の言った通りだ
だけど犬飼は知らない
あいつの弱いところ
俺しか知らないことだってある
声を押し殺して泣くところ
首を直角に曲げて泣き顔を隠そうとするところ
安心した時、崩れた笑い方をするところ
その全部がすごく…可愛いところ


