私に恋する可能性




その表情はちょっと…思っていたものとは違った


少し不機嫌そうで、少し悲しそうな

いじけた子供みたいな表情


そしてその少し尖らせていた口を開いた


「ねぇ…俺のこと怖い?」





「怖いですけど」


あ、秒で答えてしまった



「…そっか」





そりゃ

あんなことされたら怖いに決まってる

腰まで抜けたんだから


でも、今目の前にいるのはあの時とはだいぶ違う姿

少ししゅんとして、あの時より小さく見える



「…あの、さ…この前は…その、ごめん」


…へ?


想像もつかない言葉が出てきて思わず目を見開く

少し目を泳がせながら私を決まり悪そうに見上げている



「この前って…最初の集まりの時のですか?」


2週間くらい前の…


「…うん」


え、なんで


「…いや、あん時は結構俺も取り乱しちゃって…やっちゃったなって思ったんだけど
ここ最近ずっとおびえられてるなって、ひなたに」


まあ…私わかりやすいって言われるし

これでもかってくらいあからさまに避けてたけど


反省…してたのかな


口をモゴつかせながらチラチラと私の顔を見る蓮斗くん


なんか…悪いことした後に先生とか親の顔色伺う子供みたいになってる



「だから…えっと謝んなきゃなって」


かなり小さな声だったけど確かにそう言った


「…脅かしてごめんよ?ひなた」



蓮斗くん