…
こいつらがどういう関係かは知ったことじゃないけどさ
「とりあえずさ、しばらく茂木に接近するのやめなよ」
絶対そのほうがいい
「え、蓮斗く
「茂木ね」
だからなんで名前なんだよまじで
「なんか危なっかしいし…標的が俺なんだったら尚更。俺だって男だからそんなひ弱じゃないし、間部さんが心配することなんてないよ」
早口にそう言う
それで間部ひなたがあいつに怖い思いさせられるなら近づかないほうがいい
間部ひなたはしばらく迷った後こくこくと頷いた
…!
何気に視界に入ったのは間部ひなたの膝の上に置いてあった手
手首に少し赤い跡があった
…
「…怖かった?」
腕を掴まれていた時の間部ひなたの表情が蘇る
「い、いえ!そんなことはっ…」
とっさに腕を隠した
やっぱりそうだ
普段は何かとかまってくるくせに、こういう時は全く頼らない
もっと…頼ればいいのに
弱いところ見せたって別に離れりゃしないから
本当のことを言ってほしい
…これ本当に俺なのかな
自分でも混乱するほど、調子が狂ってる
「…怖かったです」
不意にそう呟いた
…初めて見た表情
俯いて、唇を少し噛んでいる
…まあいいか
今日の俺はいつもと違うってことにしよう
今日は果てしなく調子が狂ってる日なんだ
それだけだ
自分の心臓が今までに経験したことのないような音を立てている
トクトクと脈拍が早くなっていく