「赤くなってる…」
あ…
結構力強かったから
「…怖かった?」
…
「い、いえ!そんなことはっ…」
とっさに腕を隠して多岐くんを見上げた
だけど
そのなんとも言えない熱を持った目に
言葉を一度失った
…
「…こ、怖かったです」
なんとなく…
自分の弱いところを見せてもいいような
そんな気がした
「…そう、か」
多岐くんの手が私の視界を泳ぎ、そして
なぜか
私の頬に触れた
心臓がうるさく鳴く
蓮斗くんの時のバクバクじゃない
…
もっと暖かくて、苦しくなるような
ドキドキ
「…ひ」
ひ?
何かを言おうとした多岐くんを見上げる
私の顔は多分赤くなっている
耳まで赤いかも
恥ずかしいけど、とてつもなく恥ずかしいけど
目を離せなかった
多岐くんの温かい大きな手が私の頬に触れている
そこから伝わる優しい熱
たまに…多岐くんが何を考えているのか分からなくなる
あなたは私をどう思っているのか
知りたくて
でも知るのが怖くて
大事な時に言えない
今好きとは…言えない


