「にしても、なんで茂木は間部さんに目つけたんだろうね」
それは
「私が多岐くんと長い間付き合ってるから、多岐くんの大事な人だと勘違いしたみたいですよ」
なんか自分で言って傷つくなこれ
でもまあそういうことだ
蓮斗くんは私が多岐くんにとって大事な人だと思ったから多岐くんから奪おうとした
で、実際そうじゃなくてただ私が粘り強いだけだったからびっくりーって話でしょ?簡単に言うと
「…勘違い?」
「蓮斗くんは私になんか興味ないですよ」
多岐くんが標的だ
そのために私に接近したんだから
だから…
「ちょ、今蓮斗って言った?」
…ほ?
「茂木のこと、蓮斗って言ってんの?」
えと…うん?
「てか、あいつも名前で呼んでたよね間部さんのこと」
「多岐くん?」
「…」
え、どうしたの?
動かなくなってしまった多岐くんを凝視する
「多岐くーん?」
「え、あ…ごめん」
どうしたん?
「とりあえずさ、しばらく茂木に接近するのやめなよ」
「え、蓮斗く
「茂木ね」
遮られる
「なんか危なっかしいし…標的が俺なんだったら尚更。俺だって男だからそんなひ弱じゃないし、間部さんが心配することなんてないよ」
え、でも
「いいから。茂木にはしばらく近づくな」
は、はい
こくこくと頷く私を見た後、視線を下に移す
座り込んだまま膝の上に置いてあった手


