私に恋する可能性




「…多岐くんに…手を出されたくなかったら、付き合ってって…言われました」





「は?」


うん、だよね


意味わかんないよね


私もわかんないもん


多岐くんをどーにかするのになんで私と付き合う必要があるのか


でも…そんな理屈を考えるよりも、多岐くんを傷つけられたくないっていう気持ちが勝ってしまう


だから


「なんて答えるつもりだったの?」





きっと私は分かったって言ったと思う


多岐くんとは死ぬほど別れたくないけど


別れるって表現ちょっと違うか


…この関係終わらせたくなかったけど…


「多岐くんが傷つくよりは…」


「はぁ」


私の曖昧な答えにため息をこぼした多岐くん


「分かったっていうつもりだったってこと?」





なにも言わない私を見て再びため息を溢す

さっきよりも大きいのを


「間部さんはどうしたいの?」


…へ?


「間部さん自身はどうしたいの?俺との関係」





そんなの


「やめたくないです!まだ諦められないから!」


食い気味で言った私にふっと笑いをかける


「じゃあそれでいい」





「でもっ」


「でもじゃない、それでいい」





「次、同じこと言われたらちゃんと嫌だって言え」





煮え切らない表情をする私の顎を再び掴む多岐くん


「分かった?」





「はい」


よしと言ってにっと笑う多岐くん



…また私ばかり好きになっていくな