…そんなこと
「そんなの知ってますよ」
「……は?」
「多岐くんが私に告白したのは賭けのゲームの一環ですよ」
はぁ…この説明何回したんだろ私
ついこの前も犬飼先生に言ったんだが
「多岐くんは私のことなんか微塵も好きではありません。さっきも話したように多岐くんは女の子をフラないから2ヶ月近く付き合えてるだけです」
…言わせないでくれないかな
言って気持ちの良い内容じゃないんですよ
「でも、それでも構わないんです。馬鹿なこと言ってるのはわかってるけど、諦めたくないんです。多岐くんが好きだから」
だから
「多岐くんを傷つけることは私が許さない。あなたの嫌いな人でも、私の好きな人なんです。だから私の前で多岐くんを悪く言うのはやめてください」
真っ直ぐ蓮斗くんの目を見た
「多岐くんはクズなんかじゃない」
私よりも先に私の足の怪我に気付いてくれる
わざわざ夏の夜に汗を流して走ってきてくれる
不器用で優しい人だ
そりゃゲームとかで女の子と遊んでたのはクズだけど(どっちやねん)
まあなんにせよ私にとっては
クズだろうがクズじゃなかろうが
『好きな人』なんだ


