なんか
一目惚れって…一度見ただけとは言え
恋に落ちてることに違いはないはず
恋ってことは私が多岐くんに抱くような気持ちと同じもの
だけど…なんか言葉にはしづらいけど…
蓮斗くんは違う
恋をしてるんじゃない…蓮斗くんの表情や、言葉
なんていうか私の目に見えてるものに恋の色がない
私に一目惚れしたっていうのは違うんじゃないかな
というか、むしろ
「私じゃなくて…多岐くんなんじゃないですか？興味があるのは」
そんな気がする
さっきから質問の内容がほとんど多岐くん関連なんだよ
私だったらあの朝みたいに好きな人の情報を知りたいって思う
でも蓮斗くんはそうじゃない
「蓮斗くんは、私に恋なんてしてないでしょ？」
「…なんで、そう思うの」
「…はっきりとした根拠なんてないよ。だけど見てればなんとなくわかる。私が多岐くんに本気の恋をしてるから、蓮斗くんの恋が本物じゃないってわかる…気がする？」
あーなんか途中までいい感じだったのに最後の最後で自信無くした
「…」
さっきまでニコニコと笑っていた蓮斗くんの表情から笑みが少し消える
「…私が今絶賛片想い中だからなお言えるけど、自分の気持ちに嘘つかないで。誰かを好きになるってすごく…その、大変なことだから」
…
さっきから何も喋らない蓮斗くんをチラリと見る
「…ふーん。ひなたって変だね」
ゔはっ
え、なに、今ナチュラルにディスられた？
「ふふ」
笑ったような声を出したけど、蓮斗くんの目は全然笑ってなかった
