「前科って女の子とゲーム目的で付き合ってたとかそういうのですか?」


「え、お前知ってんの?」


犬飼先生が驚いたように私を見る


やっぱりそれか


「…偶然聞いてしまって、私への告白がゲームだったことを」


「は?聞いたって…」


「でもそれでもいいんです」


犬飼先生の動きが止まる


「今はゲーム相手としてしか見てもらえない一方通行な関係ですがそれでもやめたくないので…多岐くんに好きになってもらえるように頑張っているところです」


「ゲーム相手って…わかってんのに付き合ってるってことか?」


だからそういうことだっちゅーの


「は…なんで、てか普通にその事実知った時ショックとかなかったのか?」


「ショックなんてあるに決まってるじゃないですか。私だって人間ですから。でもそれだけでは多岐くんを好きだという気持ちが変わらなかったのでやめないんです」



「…お前変わってるな」


「よく言われます」


「やめないのか…」


はい


「多岐くんに切られるか私がやめたいと思うまでは」


「そーか」


正直全く先は見えてないけど…ね



ポフ





犬飼先生の大きな手が私の頭に乗ってる


何を考えてるかはわからなかったけど

ちょっと頭をぐりっと撫でられて


そのまま何も言わずに歩いて行ってしまった