やっと学校が見えてきてほっと胸を撫で下ろす


校門をくぐるとサッと片手を上げた


ついたよってことか、ここまでってことか分からないけど


ずっと後ろ姿だけを見て追いかけてきた私はとっさに声を出した


「あ、あの!お名前は!」


歩くスピードを少しだけ落として私を見た


「多岐遥」


小さめだったけどちゃんと聞こえた


「多岐くん!ありがとうございました!」


私の声が聞こえたかは分からないけど

ひらりと手を振っていなくなってしまった



しばらく動けなかった


男の子にこんな気持ちを抱くのは初めてだったから


それから学校で見かけるたびに目で追って


一度も言葉を交わしたことはなかったけど


恋してるんだなーって実感した


多岐くんが好き


そしてそんな彼が今…私の