アップの髪のうなじがくすぐったくて、あたしの肩がきゅっと上がった。 「っ……、や……」 ヒザがかくんと折れそうになって、思わず腰に回っている腕にしがみつくと、 「隙だらけだな、あんた」 離れた熱が、あたしを見下ろして言う。 「気をつけろよ? これから人混みの中に行くんだから」 「……え?」 「浴衣の女の子を狙うオオカミがいっぱいいるんだし」 「オオカミ……」 ……って。 その仲間みたいなあんたが言うかっ。