「オレがいなかったらどーなってたか」 「ごごっ、ごめんっ。急いでたから……」 「気を付けろよ? あんた昨日からそそっかしいから」 「なっ。そそっかしいって! 昨日はだって、」 「イイにおい」 「……へ?」 突然の話題転換。 何事かと思えば、 「香水じゃない香りっていいよな」 「ちょっ……」 ふわり……と、首筋に降りてきた熱の正体は、郁己くんの鼻先。 「……っ」