“そんな事実を抜きにしても、郁己くんとちゃんと向き合おうと思ったの”
感傷的な気持ちは、この子の言葉で救われた。
いや、ほっとしたというのが正しいのか。
……ちゃんと、前を向けたんだな。
この1年で、オレの気づかないところで、その華奢なカラダで、
地に足をつけて歩けていたことが嬉しかった。
だけど、その分。
オレが振られる可能性も高くなったってわけだ。
この子が、1年間のオレにどんな審判を下すのか。
まあ……どんな返事であれ、受け入れるしかねぇよな。
頂上に差しかかった観覧車に、
さわりと入り込んできた懐かしい風。
その風が、なぜだか肩を叩いてくれたように感じた。
不思議なことに、心はおだやかだった。

