せこいやり方だが……王子のフリをすることも出来たはずた。
双子であることを知らねーのなら、テキトーに話を合わせておけば、それも可能だった。
でも……それじゃ、あの頃、兄貴が確かに存在していたことが無になる。
兄貴が生きていた証を奪うようなことは……オレには出来なかった。
「郁己くん……ごめんね」
「なんで謝んだよ」
「……あたしのこと、いっぱい考えてくれてたんだよね。なのに、あたし……ひどいことばっかり言って……」
「……ふ。確かにそうかもな」
「ごめんなさい」
……バーカ。ウソだっつーの。
んな顔して謝る事ねーよ。
「オレが中途半端な人間だったのは本当だから。由梨ちゃんが言ったことは、ある意味正しいんだよ」
気にすんな。
そういう顔を見ているほうが、辛いから。

