正直、くやしかった。
指輪をあげたのが、約束をしたのが、兄貴だったってことに。
“……キスしていい?”
悔しさにまかせて引き寄せた細いカラダ。
“オレにしとけよ。昔の王子なんて忘れて”
なんでオレじゃねーんだよ。
“オレなら……隣だし。すぐに来れるし”
王子はな、もう、どこにもいねーんだよ。
“そばにもいてやれるし”
知って、辛くなるのは、お前なんだぞ?
思わずあんなことを言ってしまったが、
すでに女たらしの醜態をさらしているオレに向けられたのは、「王子様とは全然違う」だ。
兄貴を亡くしてから14年、なんでも軽く受け流せたはずの心に、初めて杭を打ち込まれた。

