あ~あ。やられた。と思った。
「いつか迎えに行く」なんて約束までしてきたことは聞いてなかったけど。
「やっぱり泣いてたんだ、あの子」
「ふーん……」
「ちょっとは強くなるといいけどなぁ」
泣き虫な顔を思い出すように。
遠い目をして、窓の外を見ている自分とそっくりな横顔。
それを見て、オレも軽くため息をついた。
「そう言えば、靴! 郁己、オレの履いてったろ」
「ああ~、急いでたからさー」
「汚れちゃってんだけど、オレのレッド」
「いいだろ、拓己(タクミ)はオルゴールもらったんだから。てか、ブルーの方が絶対かっこいいし」
――そう、
指輪を渡したのは、オレの双子の兄貴……拓己だ。
そして、その兄貴はもう、この世にはいない。

