「余計なこと言うな、バカ」
ユキヤくんの背中をどついた郁己くんは、気まり悪そうな顔をしてから自分のほっぺたを撫でた。
……っていうか、
「……郁己くん? なんか……顔、腫れてない?」
さすってるほうのほっぺが、ぷっくりしてる気がするんですけど。
しかも、赤いし。
「ぷっ。殴られたんだよな? いや、殴らせたんだよな」
面白そうに噴出したユキヤくん。
「郁己の精いっぱいの罪滅ぼし。付き合ってるつもりのない彼女たちでも、ウソついて傷つけてんのは事実だしな。
一発殴れって言って、みんなにやられた結果がこれ。グーの子もいたっけ」
ぽかんと口を開けているあたしに気づいた郁己くんは、
「黙れっつーの」
ユキヤくんの頭をバシンっと叩いてから、
「姉貴が来るんじゃなかったのか? 何で由梨ちゃんが来てるわけ?」
すねた子どもみたいに、あたしに言った。

